2024 .05.15
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寝不足がたたって、本当に日記が書けないのだが、更新してないとこのまま消えてしまうような気がして怖かったので、書いてたけどアップしていなかった、行き当たりばったり小説の続きを置いておこう。ちなみにタイトルは仄暗い水の底からがその時頭にあったので、スガシカオの歌のことを考えながらつけました。パクリです。(真顔)
ほの暗い穴の底から4
新緑が芽吹く頃に夫は逝く。
よく晴れた朝。時刻にして八時。名も知らぬ鳥が鳴いていた。
私も夫も、まるで思春期の頃のようにうまく話ができずに、黙りがちな一時を過ごすことになった。大鐘が鳴り渡り、さあもう出ねばと言う頃に、発とうとする夫を引き留め昨晩買っておいたコンビニのおにぎりを渡した。きっとお腹が空くだろうから、と私が言うと、夫は何か感じ入っているようだったが、私の方はというとそれどころではない。実は下腹地方に大雨洪水警報が出ている。
少し動くと汗ばむような陽気の日に、死にへ向かう夫を見送りながら、かつ強烈な便意とも戦う私。泣くまいと思っていたが、必死なのと情けないのとでこらえきれずに涙が出た。
自慢じゃないが私はまだ一度も夫に屁を聞かせたことが無い。恥ずかしくてできないのだった。たぶん夫は、妻と言う生き物は皆屁をしないものと思っている。しかし実際の私はしているし、それは私だけに限ったことではないだろう。世の奥様方はきっと夫の前でもかまわずこかれているはずだ。私だって付き合っているのではなし、夫婦なのだから屁ぐらいと思うものの、実は結婚して数年経った今も、私は夫へ乙女の様な恋心を寄せおり、そんな乙女には想い人のいるところで放屁だなんて、宇宙が崩壊してもできるわけがなく、そんなわけで私の結婚生活は、耐えに耐えて耐えて耐える日々となったのだった。結婚生活とは忍耐の連続であると話す人が居たように思うが、大いに同意である。
それなのに、耐えきって今まで生きてきたのに、ここへきて漏らしてしまうなんて事態は、絶対に絶対に避けたい。屁を通り越して脱糞してしまうだなんて他にたとえようのない悲劇。
…本当は夫の背が見えなくなるまで見送る心算だったのだけれど、上記した通りそんな悠長な時間が私にあるはずもなく、夫が背を向けると同時に私も彼に背を向けて、一目散にトイレへ駆け込んだ。トイレの扉を閉める間も惜しく、がむしゃらに事を成したおかげで27歳にして粗相するという不名誉からは逃れられたが、あわてて外へ出てみても、もう夫の姿はどこにもないのだった。
出すものを出しながら夫の事を考えた。おにぎりを渡した時の嬉しそうな顔や、目じりに浮かんでいた涙のことを。コンビニおにぎりであんな嬉しそうな顔をするんだから、ちゃんと作ってやりたかった。だけど時間が無かったの。本当にごめんね。だけど私が、絶対にあなたを助けてあげる。
さてと。私は家事を済ませると早速家を飛び出た。しばらく戻れなくなるだろうから、洗濯物は室内に干した。戻った時の匂いの事を考えるとうんざりしてしまうが、夫の命か洗濯物かと聞かれれば誰だって迷わず夫の命を優先するはずだ。
王様はお若くして亡くなられた。19歳だったと聞く。
世間では病死となっているが、んなはずはなかった。大体王様は14歳になるまでその辺で野良暮らしをしていたいわゆるストリートチルドレンだ。食べられるものは何でも食べ、泥水を啜り、踏みつけられればその足にかみつくような野獣。病気の方が嫌がって逃げるだろう。
実際、私たちが毒を盛った時にも、王様は異常なほどの生命力を発揮された。普通の人なら半日もあれば死に至るところを、なんとまるまる一日苦しみ抜いたのだ。一日の間は腹を引っ掻き回されるような苦しみに見舞われていたはずだが、気丈にも私たちと会話までしてみせた。このままでは王様は死なないのではないかと思ったほどだ。
どうやらここで、行き当たりばったり力が切れたようである。勢いだけってダメね。ちゃんと最後までかける人達ってすごいわ。変態。(変態)
ほの暗い穴の底から4
新緑が芽吹く頃に夫は逝く。
よく晴れた朝。時刻にして八時。名も知らぬ鳥が鳴いていた。
私も夫も、まるで思春期の頃のようにうまく話ができずに、黙りがちな一時を過ごすことになった。大鐘が鳴り渡り、さあもう出ねばと言う頃に、発とうとする夫を引き留め昨晩買っておいたコンビニのおにぎりを渡した。きっとお腹が空くだろうから、と私が言うと、夫は何か感じ入っているようだったが、私の方はというとそれどころではない。実は下腹地方に大雨洪水警報が出ている。
少し動くと汗ばむような陽気の日に、死にへ向かう夫を見送りながら、かつ強烈な便意とも戦う私。泣くまいと思っていたが、必死なのと情けないのとでこらえきれずに涙が出た。
自慢じゃないが私はまだ一度も夫に屁を聞かせたことが無い。恥ずかしくてできないのだった。たぶん夫は、妻と言う生き物は皆屁をしないものと思っている。しかし実際の私はしているし、それは私だけに限ったことではないだろう。世の奥様方はきっと夫の前でもかまわずこかれているはずだ。私だって付き合っているのではなし、夫婦なのだから屁ぐらいと思うものの、実は結婚して数年経った今も、私は夫へ乙女の様な恋心を寄せおり、そんな乙女には想い人のいるところで放屁だなんて、宇宙が崩壊してもできるわけがなく、そんなわけで私の結婚生活は、耐えに耐えて耐えて耐える日々となったのだった。結婚生活とは忍耐の連続であると話す人が居たように思うが、大いに同意である。
それなのに、耐えきって今まで生きてきたのに、ここへきて漏らしてしまうなんて事態は、絶対に絶対に避けたい。屁を通り越して脱糞してしまうだなんて他にたとえようのない悲劇。
…本当は夫の背が見えなくなるまで見送る心算だったのだけれど、上記した通りそんな悠長な時間が私にあるはずもなく、夫が背を向けると同時に私も彼に背を向けて、一目散にトイレへ駆け込んだ。トイレの扉を閉める間も惜しく、がむしゃらに事を成したおかげで27歳にして粗相するという不名誉からは逃れられたが、あわてて外へ出てみても、もう夫の姿はどこにもないのだった。
出すものを出しながら夫の事を考えた。おにぎりを渡した時の嬉しそうな顔や、目じりに浮かんでいた涙のことを。コンビニおにぎりであんな嬉しそうな顔をするんだから、ちゃんと作ってやりたかった。だけど時間が無かったの。本当にごめんね。だけど私が、絶対にあなたを助けてあげる。
さてと。私は家事を済ませると早速家を飛び出た。しばらく戻れなくなるだろうから、洗濯物は室内に干した。戻った時の匂いの事を考えるとうんざりしてしまうが、夫の命か洗濯物かと聞かれれば誰だって迷わず夫の命を優先するはずだ。
王様はお若くして亡くなられた。19歳だったと聞く。
世間では病死となっているが、んなはずはなかった。大体王様は14歳になるまでその辺で野良暮らしをしていたいわゆるストリートチルドレンだ。食べられるものは何でも食べ、泥水を啜り、踏みつけられればその足にかみつくような野獣。病気の方が嫌がって逃げるだろう。
実際、私たちが毒を盛った時にも、王様は異常なほどの生命力を発揮された。普通の人なら半日もあれば死に至るところを、なんとまるまる一日苦しみ抜いたのだ。一日の間は腹を引っ掻き回されるような苦しみに見舞われていたはずだが、気丈にも私たちと会話までしてみせた。このままでは王様は死なないのではないかと思ったほどだ。
どうやらここで、行き当たりばったり力が切れたようである。勢いだけってダメね。ちゃんと最後までかける人達ってすごいわ。変態。(変態)
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